ユニクロ、有色クロメート、黒クロメートの違い:色は化成皮膜で、出回っている耐食の順位は六価クロムの時代のもの

白、青、黄、黒の亜鉛めっきは、どれも同じ電気亜鉛めっきの上に乗っています。色は、その上に作る薄い化成皮膜の色です。中国語圏と英語圏には、黄色は白より、オリーブは黒より耐食性が高いという順位がいまも出回っています。たどると、その理由は「色付きの皮膜の方が厚い」ことと「皮膜中の六価クロムが傷を修復する」ことでした。現在は多くが三価に移り、ISO 19598 は三価の皮膜を染色してよい、色調も許容すると書いています。色は残っていても、色が語ることは変わりました。読了まで約 7 分。

青白、黄、黒の亜鉛仕上げの六角ボルト3本と下の赤線

呼び名は四つ、亜鉛は一層

電気亜鉛めっきは二段階です。鋼の部品に亜鉛をめっきし、次に化成処理液に浸けて、亜鉛の最表面を薄い皮膜に変えます。 規格はこれを化成皮膜(conversion coating)と呼びます。白、青、黄、黒の違いは二段目にあり、一段目の亜鉛は同じです。

亜鉛めっきボルト表層の断面模式図。灰色の鋼、青みの亜鉛層、赤で縁取った化成皮膜
模式図で、層の厚さは誇張しており縮尺どおりではありません。色の違いはすべて赤で縁取った化成皮膜と、その上の封孔剤で生じます。

六価クロムを使わない亜鉛めっきの国際規格は ISO 19598 で、表 2 が皮膜を三つの型に分けています。 下表の左欄は日本の現場の呼び名で、右の三欄は規格の言葉です。呼び名と型の対応は当サイトの整理で、規格自体は呼び名を挙げていません。

現場の呼び名と ISO 19598:2016 表 2 の化成皮膜の型
現場の呼び名ISO 19598 の型記号規格が書く外観
ユニクロ(光沢クロメート)、三価白Transparent(透明)An無色から有色・虹色、「薄膜型」
有色クロメート、三価黄Iridescent(虹色)Cn有色・虹色、「厚膜型」
黒クロメート、三価黒Black(黒)Fn黒

表 2 には注があります。Tints are permissible、色調は許容される。 4.2 の定義の後には、化成皮膜は任意に染色してよいとも書かれています。三価の規格の下では、黄色っぽいボルトが 虹色型のこともあれば、染色した透明型のこともあるということです。オリーブ(緑)は表 2 に対応する行がなく、当サイトは分類しません。

あの順位はどこから来たか

中国語で「白鋅と彩鋅の違い」を検索すると、同じ文章が何度も出てきます。たどれる古い版は、2017 年 12 月に WeChat の 「機械設計一点通」が書き、kknews に転載された記事で、耐食性を「オリーブ>黒>虹色>青白>白」と並べています。

同じ記事の少し前に理由が書いてあります。虹色の皮膜は無色の皮膜より五倍以上耐食性が高い。理由の一つは皮膜が厚いこと、 もう一つは、傷が付いたとき皮膜中の六価クロムが傷の部分を「再不動態化」して修復することだ、と。

二つ目の理由は六価クロムの性質です。色が濃いほど皮膜が厚く、皮膜に移動できる六価クロムを含んでいたので、 色と膜厚と耐食性が連動し、色でおおよその順位が付けられた。当時としては筋の通った推論です。 ただ、前提が変わった後も、順位だけがそのまま転載され続けています。

三価になってから、色は何を語るか

六価クロムは EU の自動車と電気電子機器の規制で制限されています。廃車指令の附属書の注は、均質材料ごとに重量で 0.1 % までを、 意図的に添加していない場合に限って許容しています(委員会決定 2002/525/EC)。化成処理は三価クロムに移りました。

それに合わせて、ISO 19598 の色の書き方には注目すべき点が三つあります。透明型の外観は「無色から有色・虹色」で、虹色型と重なります。 色調は許容されます。染色も許容されます。さらに 4.3 の注は、封孔処理やトップコートが化成皮膜の干渉色を通常は消してしまうと書いています。 三価の亜鉛めっきボルトの色は、皮膜の型から来ていることも、染料から来ていることも、封孔剤で覆われていることもあります。

米国の締結部品販売店 Earnest Machine は 2026 年 7 月の解説で、三価の亜鉛めっきで最もよくある誤解は色が耐食性を決めるという考えで、 実際にはそうではない、と書いています。白が自動的に黒より劣るわけでも、黄が自動的にどちらより優れるわけでもない、と。

同じ名前、二つの化学

呼び名は化学と一緒には変わりませんでした。台湾のある締結部品店の表面処理一覧には「三価クロム黄亜鉛」と「六価クロム黄亜鉛」が 別の品目として並び、白、青、五彩にもそれぞれ三価と六価があります。「黄色」とだけ言っても、どちらの化学か相手にはわかりません。

図面ではもっと気づきにくい形で起きます。JIS H 8625 は六価のクロメート皮膜を規定しており、 三価クロメートには JIS 記号がありません。メッキ.com の解説が例に挙げる Ep-Fe/Zn 5/CM1 は、 鉄素地、亜鉛 5 µm、光沢クロメートで、この光沢クロメートは六価を意味します。JIS の習慣どおりに描いた図面が、 誰も気づかないまま六価を指定していることがあります。同社は、記号の後に「三価クロメート処理」と言葉で書くよう勧めています。

では、どう指定するか

色ではなく型と記号で。ISO 19598 の表し方は Fe//Zn12//Fn//Tx のようになります。 鋼、亜鉛 12 µm、黒色化成皮膜、封孔の有無はめっき業者に任せる、という意味です。締結部品には ISO 4042 もあり、その記号が外観の符号から工程の符号に変わった経緯は A2K が符号化していたのは見た目、Zn5/An が符号化しているのは工程 に書きました。同じ亜鉛の厚さで、白さびまでの時間が大きく開くことも含めてです。

耐食性は試験と判定基準で書く。塩水噴霧の時間と、終点が白さびか赤さびかを書き、色は外観の要求として別に書きます (塩水噴霧 500 時間は、結局のところ何を保証しているのか)。

化学は言葉で書く。「三価」の文字を図面か注文書に入れます。JIS 記号を使うならなおさらです。

高強度品は、表面処理を変える前に水素ぜい化を確認する。ISO 19598 の 5 項が購入者に部品の引張強さを求めているのはこのためです (錆びなかったが折れた:水素ぜい化と、あのベーキング)。

このページから言えないこと

このページは、どの色が耐食性で勝るとも、同じだとも言っていません。それは指定した型、厚さ、封孔、試験結果で決まります。 ISO 19598 の最低耐食性の表はプレビューの外にあるため、時間は引用しません。EU の適用除外とその期限は原表を読めていないため、日付は書きません。 呼び名と型の対応は当サイトの整理で、めっき業者によって使い方が違うことがあり、発注では記号が優先します。

この記事は手順 5、表面処理を扱います。全体の順序は相手材、ねじ、頭部、駆動部、表面処理、書類で、これを崩すと微調整ではなく手直しになる理由はねじの決め方にあります。

よくある質問

ユニクロ、有色クロメート、黒クロメートの違いは?

どれも電気亜鉛めっきで、違いは上の化成皮膜です。ISO 19598 の表 2 では、ユニクロ(光沢)や三価白はおおむね透明型 An、有色や三価黄は虹色型 Cn、黒は黒色型 Fn に当たります。規格は色調と染色を許容しているので、三価の皮膜の色をそのまま型や耐食性の等級と読むことはできません。

有色クロメートはユニクロより耐食性が高い?

六価の時代にはおおむねそうでした。色付きの皮膜は厚く、六価クロムが傷を修復できたからで、出回っている順位もこの二点を理由にしています。三価になってからは色では判断できず、米国の販売店 Earnest Machine も色は耐食性を決めないと書いています。型、厚さ、封孔、塩水噴霧の時間と終点で指定してください。

図面の CM1 は何が問題か?

CM1 は JIS H 8625 の光沢クロメートで、この JIS は六価のクロメート皮膜の規格です。三価クロメートには JIS 記号がありません。メッキ.com は、JIS 記号だけで発注すると意図せず六価を指定してしまうことがあるとして、記号の後に三価クロメート処理と言葉で書くよう勧めています。

参考資料

ISO 19598 は公開プレビュー(9 頁、6 項まで)を読みました。8.4.2 の最低耐食性の要求はその外にあり、引用していません。呼び名と型の対応は当サイトの整理です。2002/525/EC は表の後の注だけを読めました。表自体は EUR-Lex の HTML では画像のため、適用除外の項目や期限は書いていません。ウェブ記事、販売店、めっき業者の記述は二次情報で、いずれも原文を読んで出典を示しています。

お問い合わせ

亜鉛めっきを指定する場合は、型か記号、亜鉛の厚さ、封孔の有無、塩水噴霧の時間と終点、そして「三価」を引合いに書いてください。 色は外観の要求として別に。その欄に沿ってお答えします。

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